今回紹介するのは『沈黙のWebライティング Webマーケッター ボーンの激闘 [ 松尾茂起 ]』です。
本書はホームページやブログのことが分からない人にも分かりやすくするための工夫が多くちりばめられています。
631ページもありますが、マンガ風に書かれている所も多いので本が苦手な人にもオススメです。
前作よりも200ページも増えてかなりパワーアップしていますね。
しかも、ラストには衝撃の結末が待っています。

僕が本書を読んで実践していること、意識していることを4つ取り上げました。詳しく見ていきましょう!
ユーザーに焦点を絞る
ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。(P57)
これは「Googleが掲げる10の事実」に書かれている内容です。
Googleはこの10の事実になるように努めています。
つまり、Googleの検索結果に上位表示されるものは、Googleがユーザーにとって有益だと思われるものが表示されているわけです。
では、Googleがユーザーにとって有益だと考えているのは?
Googleはこちらにもきちんと答えています。
それが「ウェブマスター向けガイドライン」です。
現在、世界のウェブサイトの数は17億にものぼるそうです。
いくらGoogleが巨大企業だといっても、これを人力でチェックするのは不可能です。
では、どのようにしてサイトを解析して、ユーザーの検索意図に合うようにしているかと言うと、Googleが開発したプログラムを使っているのです。
プログラムは開発者が設計した通りの動きしかしません。
つまり、Googleがサイトを解析する方法には一定のルールがあるのです。
それが「ウェブマスター向けガイドライン」です。
作った記事がこのガイドラインに沿っているか確認してみましょう!
まずは検索意図に合った情報を集めることが大事(P95)
Googleがどのようにしてユーザーとサイトをマッチングしているかが分かりました。
次はユーザーの検索意図とサイトの内容が合っているか?です。
「ダイエット」というキーワードで検索したのにオススメのラーメン100選とかの内容になっていれば、心を鬼にして無視しますよね。
検索意図にあったキーワードをいかにして集めるか?
本書ではGoogleの検索結果で上位10位までのページを分析(P94)することがもっともシンプルでわかりやすいとしています。
ビジネスは徹底的にパクることが成功の秘訣とされています。
法にひっかかるパクリはNGですが、キーワードや文章の構成をパクるのは全然OKです。
他のサイトから得られるものはどんどん吸収してユーザーにとって利便性の高いサイトを作りましょう。
自分で納得して選んだ感
ユーティリティ、すなわち、”機能的”なコンテンツにしなさい、ってことよ。
あなたが旅館を探す際、特定の旅館だけをプッシュしているコンテンツを見つけたら、「何か裏があるんじゃないか?」と疑心暗鬼になるでしょ?(P126)
あなたがショッピングをしていると、店員さんがきて、急に売り込みを始めた。
そんな経験はないでしょうか?
僕はその商品だけ、メリットだけを話されると途端にその商品への興味が薄れてきます。
このお店は良いと評価するのは、こちらが質問するまで口を出さず、質問には悪いところもしっかりと説明してくれる店員がいるところです。
そうなると、疑心暗鬼にはならず、自分で納得して選んだ感が得られるのです。
ウェブサイトでも同じです。
Webマーケティングとは心理戦だ。
相手の人間心理を理解した上で、行動につなげることが大切だ。(P127)
Webマーケティングに役立つ心理学はたくさんあります。
その中でも「【永久保存】Webマーケティングに役立つ心理学用語36選」はジャンル毎に解説されているので、どのような時に使えるのかが分かりやすいと思います。
読み手の脳の負担を減らす
人間がとる行動は直観的かつ感情的な要因によるものが大部分である。(P196)
これは2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏が書いた『ファスト&スロー』の中の一文です。
『ファスト&スロー』 によると私たちの脳が処理するために2つのシステムがあるそうです。
1つ目は直観的(無意識)なシステム1。
2つ目は論理的(意識的)なシステム2。
イケメンを見てカッコイイと思うのはシステム1。
イケメンの行動を考察してさらにカッコイイと考えるのはシステム2。
私たちの脳はシステム1→システム2に移行するというのがポイントです。
この理論でいうと「人は見た目が9割」という話もある程度説明ができますね。
システム1ではじかれてしまうと、いくら中身が良くても次につながることはないのですから。
つまり、目に入った文章を直観的に判断して、それが自分に有効そうであれば、その文章の詳しく読んでいくということです。
ウェブサイトで文字の大きさが違ったり、色分けされていたりするのにはそのような理由があります。
Googleがいかにユーザーとウェブサイトをマッチングしてくれたとしても、ウェブサイトの内容が読み手に負担になるようなものであれば、せっかくの機会が台無しですよね。
本書では文章を読んでもらうために必要な3つの視点(P236)も紹介されています。
エンターテイメントの本質
人々を感動させる音楽や映画、マンガ、小説。
そいういったものは一見、作者の感情の赴くままに作られているように見えるかもしれん。
しかし、実際のところ、それらは、徹底した論理的思考、すなわち、ロジカルシンキングの上で作られているのだ。(P318)
小説には起承転結と呼ばれる型があります。
マンガにはストーリー、ネーム、コマ割り、と様々な型から出来上がります。
音楽の作り方には詳しくないのですが、型と呼ばれるものはあるそうです。
米津玄師さんがインタビューで話した内容がまさに今回の内容にそっていたので紹介します。
音楽って、フォーマットじゃないですか。“型”のようなもので成立している部分があるのは事実で、そのなかでいかに自由に泳ぐかじゃないかと。自分がやりたい音楽って、基本的に普遍的なものなんですよ。普遍的なもの、多くの人間、コミュニティ、国や地域などいろんなものの根底に流れているものを普遍性だと言うのであれば、それは“懐かしさ”と言い換えられると思っていて。つまり、どこかで聴いたことがある、どこかで見たことがある、というようなものだと思うんですよね。そういうものを、いかに今の自分に響かせることができるか――それが自分なりのオリジナリティーだと思っているし、極端なオリジナリティー信仰とか、センス信仰はどうにかしてると思う。そんななかで、最初にリスペクトがあり、その上でどうオマージュするかということをすごく考えながら作っていました。
引用: 米津玄師が語る、音楽における“型”と”自由”の関係「自分は偽物、それが一番美しいと思ってる」
僕はこの記事を読んで、オリジナリティの塊で天才という手の届かない人だと思っていたのに、少し身近に感じられるようになって、さらに好きになりました。
型とは論理的思考の末、人々に受け入れられてきたものです。
そして、型の中をいかに自由に泳ぐか。
これがエンターテイメントの本質ですね。
論理的思考を重ねたコンテンツだからこそ、その上に自分の”個性”という名の感情を乗せられる。(P319)
書評まとめ『沈黙のWebライティング Webマーケッター ボーンの激闘』松尾茂起
『沈黙のWebライティング Webマーケッター ボーンの激闘』いかがでしたでしょうか?
ライティングは書けば書くほど、上達していきます。
それは書くことによって論理的思考が働き、このような書き方の方が伝わりやすいのではないかとか、別の人の記事を読んでこういう書き方があったのか、と経験が積み重なっていくからだと思います。
本書を読んでどんどんライティング技術に磨きをかけていきましょう!