今回紹介するのは『志村流 (王様文庫) [ 志村けん ]』です。
世間がコロナで混乱している中、悲しいニュースが飛び込んできましたね。
このニュースを見て、テレビで見る志村さんがどのようなことを考えて、これまで仕事をしてきたのか知りたくなったのが、本書を手に取ったきっかけです。

僕が本書を読んで実践していること、意識していることを4つ取り上げました。詳しく見ていきましょう!
自分を『変なおじさん 』 に変身させてみる
『変なおじさん』に変身するってことは、地の自分をさらけ出すこと、自分の本心を解放してやることなんだよなぁ。(P27)
志村さんは自分のことを「内向的な性格」や「素の志村はおもしろくない」と話しています。
「え!?そんなバカな」と思われるかもしれませんが、TVに出ている他の芸人さんも私生活では志村さんと同じように内向的な性格と話されているのを何回も観たことがあります。
ここに内向的な人でも活躍できるヒントが隠されているのではないでしょうか?
自分の中に無意識で抑え込んでしまっているもの、そういうものをそのまま発散させてしまえば犯罪になってしまうかもしれません。
ですが、志村さんは「変なおじさん」というキャラクターを生み出し、それをビジネスにまで発展させました。
「変なおじさん」を観ておもしろいと思うのは、少しなりともその行動に共感を覚えるからではないかと思うのです。
この『変なおじさん』、実はオレ自信なんだよ。オレの本心というか、本当はこうしたいっていう願望を、俺の代わりにやってくれている。(P26)
人によっては心の内に秘めている願望をお笑いとして、小説として、絵として、様々な手段を使って表現しています。
自分の願望としっかり向き合い、それをどのような形で世に出すかを考え抜くことが大事なのだと「変なおじさん」から考えてみました。
どうでしょうか?
個性は変人、常識は凡人
会社のなかでも、ことなかれ主義で、ダンマリを決め込んでいるのはよくない。黙っていたって、明日リストラされるかもしれない世の中なら、いっそ開き直って地の自分を丸出しにすればいい。(P134)
会社で言いたいことが言えずに我慢して、ストレスをため続ける。
そんな生活が体にいいわけありませんし、それで病気になった人を知っています。
僕自身です。
明日、どうなるか分からないのは会社だけではなく、自分自身もそうなのです。
そもそも、会社で言いたいことが言えないのはなぜかを考えてみましょう。
人から嫌われてしまうから?
リストラされてしまうから?
僕は経験から、誰からも嫌われないことは不可能だと実感しています。
そして、一時期嫌われたとしても、時間が解決してくれることを知っています。
それでも嫌われているのだとしたら、そもそも相性が良くないのだと判断してその人については考えないようにしています。
特に相性が良くないと思うのは、自分の常識と異なる行動をする人です。
フツーじゃだめだというのは、常識はずれになれってことじゃない。逆説的なようだけど、社会人としての常識は絶対に欠かせない。(P135)
社会人としての常識という土台があって、その上でどのような表現をするか。
その土台から違うのであれば、一緒に立って仕事をすることなど土台無理なことです。
二等賞がホントの一等賞
俺の基本は、昔から、二番手、三番手狙い。つかず、離れずのこの位置は、とりあえずテレビには映るし、時たま順位が上がったり下がったり、微妙だけど順位が入れ替わって励みになるのが良い。(P158)
志村さんからこのような言葉が出てくるのは正直驚きでした。
お笑い業界のトップにいる人ですから、常に一番を狙っていたと考えても不思議ではないですよね?
二番で思い出すのは流行語にもなった「二位じゃダメなんですか?」。
予算を削減したい議員とスパコンで速度世界一を目指す研究チームの思惑がぶつかった結果、生まれた言葉です。
この言葉と志村さんの考えが違うのは、「今」か、「未来」か、どちらに焦点をあてているか、です。
議員はただ「今」について話しているのです。
世界二位だから一位を目指すためにこんなに予算はいりませんよね?だから、削っても良いですよね?ということです。
この後に待っているのは、他の国にどんどん追い抜かれていく未来だということは容易に想像が付きます。
志村さんは「常に」二番手、三番手を目指しています。
それは「未来」においても常に向上心を持って走り続けないといけないということです。
いつもいつも全力疾走で、しかも一番を取るなんて、死ぬほど大変なことなのに、他人はそう見ない。だから、長続きしない。そこへいくと、二番、三番は断然気が楽だ。(P159)
人生を短距離か、長距離か、どちらに考えるからでとるべき行動が変わってきます。
志村さんはきっと長距離で考えていたんでしょうね。
もしかすると、ゴールというものを設定していなかったのかもしれません。
ガソリンの燃費をよくするためには速度を遅すぎず、速すぎず、一定にするのが良いとされています。
人のエネルギーにも限りがあります。
長く走り続けるためには、人も車も同じようなものですね。
マネがマネーを生む
頭のなかで考える前に、まずやってみる。ぶつかってみる。理屈抜きで、とにかく手をつけてみることだ。頭で考えずに行動第一が身についたら、今度はマネるという行動に出てみる。(P169)
志村さんはコント師です。
漫才はやっていません。
なぜコント一筋なのかと言うとそのきっかけは学生時代に米国の大物喜劇俳優ジェリー・ルイスのモノマネがけっこう上手くできたから、それが自信に繋がったのだそうです。
逆にビートルズをマネしようとしたけど、上手くできなかったから、ミュージシャンの道は諦めました。
つまり、マネするということは自分の適性をふるいにかけることが出来るということです。
自分にはどのようなものに適性があるのか分からないと悩んでいるのであれば、まずは気になる人をマネしてみて、少しでも上手くできそうだと感じたら、次はもうちょっと上手くになるようにチャレンジしてみましょう。
この考え方って実は武道や芸能ではよく使われる「守破離」なんですよね。
マネる段階は「守」です。
その先に「破」と「離」があり、自分のオリジナルへと続いていくのです。
オリジナルなものがなければ自分を高く売れない。徹底的にマネてマネて、それでもマネし切れないところに、たぶん自分だけの「オリジナルなもの」がおぼろげながら見えてくる。それが、マネの第二効用だ。(P171)
書評まとめ『志村流』志村けん
『志村流』いかがでしたでしょうか?
宵越しの銭は持たない、酒と女が大好きな「粋」な男。
志村さんについても、生き方についても、多くのことを気づかさせてくれる本になっています。