【書評】カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話/木暮太一

教育部

今回紹介するのは『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話 [ 木暮太一 ]』です。

『カイジ』は自堕落な日々を過ごす主人公がギャンブルの世界にのめりこんでいくという人気漫画です。
藤原竜也さんで映画化もされています。

本書はカイジの経験を通して現実社会に活かすにはどうすれば良いのかを考える内容になっています。

ようさん
ようさん

僕が本書を読んで実践していること、意識していることを5つ取り上げました。詳しく見ていきましょう!

判断するな!覚悟をしろ!

勝負に求められるのは、何が正しいかを判断することではなく、何が正しいか分からないけれど、とにかくそれを勝ち取ると決めて、前に進むことです。そして、その覚悟を持つことです。(P45)

まずは判断という言葉の定義をあわせていきましょう。

判断とは?

物事の真偽・善悪などを見極め、それについて自分の考えを定めること。

つまり、判断にはその前提に正しい答えがあるという意識があります。

なので正しい答えは分からないけど、それでも勝ち取るために前に進む覚悟が必要になるのです。

車の運転に求められるのは判断力です。
交通ルールがあり、これが前提に当たる正しい答えです。
ドライバーはみんな、これを守る様に常に判断して運転しているのです。
そうすることで安全に目的地に到達することができます。

車の運転には危険がつきものです。
なのである程度の覚悟はしているでしょう。

ですが、ここで言うところの覚悟はもっと強い意味を持っています。

どんな困難があっても必ず目標を達成するという粘り強さなのです。
車をこのような気持ちで運転されたら事故が多発してしまいます。

手段への執着を捨てる

「ほかを捨ててでも、その一点を達成する」という覚悟を持ち、あらゆる障害の穴を見つけ、通り抜けていきます。(P50)

完璧なものというのはこの世の中にないのかもしれません。

僕の業界でもソフトウェアに脆弱性が見つかったというニュースをよく聞きます。

ウイルス対策ソフトも常に最新のウイルスとのいたちごっこになっています。

カイジはほころびを見つけ、そこを突いていくというのがとても上手いのです。

それはなんとしてでも達成するという覚悟があるから、あらゆる可能性の中から一筋の光を見つけられるのではないでしょうか。

映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』を見てきました。

本作の主人公、加賀谷学(千葉雄大)は警察官です。

彼女(白石麻衣)を守るため、囚われの殺人鬼(成田凌)に「そんなこと警察官がして良いのか」と尋ねられた時、「手段を選んでいられない」と応えたシーンが印象的でした。

一般の警察官が取れる選択肢の範囲の中ではきっと彼女を助けられなかったでしょう。

「視野を広く持つ」というのはつまりひとつの手段に固執しないことです。
どれだけたくさんの選択肢を持てるかということです。(P51)

受信力は鍛えなくて良い

日本の教育では、受信力を極端に重視してきました。
そして、同時に、発信力を極端に軽視してきました。(P131)


少し、タイムスリップして子供の頃を思い出してみてください。

学生から頻繁に質問がとびかうような授業がありましたでしょうか?

基本的には先生が一方的に情報を伝えていなかったでしょうか?

その結果、子供たちに対して一方的に「テスト」が行われてきました。

先生の教える力は問われず、子供たちの理解のみがテストされ、理解できない子供に対して「もっとがんばれ」「ちゃんと勉強しろ」と叱責してきましたね。(P125)

このようなことは企業でも行われています。

学校でも、企業でも、当事者ではなく第三者として考えてみると、その教え方、伝え方では伝わらないだろうと思うことが多々あります。

ですが、大抵は受信者側に責任があるとされてきたのです。

これには高度経済成長期の影響があるのではないでしょうか。

この当時はみんなで頂点を目指し、誰もが一丸となってがむしゃらに働いていました。

そして、年功序列と終身雇用です。
このような制度が確立していた社会では上下関係が明確に分かれていました。

ですが、今は時代が変わりました。

みんなで一丸という意識は低く、個人が重視されるようになってきています。

社会が多様化していくと、「話を聞くこと(情報を受信すること)」以上に「話を伝えること(情報を発信すること)」が重要になってきます。(P124)

以下は2019年度にソニー生命が調査した、中学生のなりたい職業ランキングです。

引用:ソニー生命

男子も女子もYoutuberがランクインしてますし、男子の方では2位がプロeスポーツプレーヤーです。

他にも自らが発信者になれるような職業が人気が高いことが分かりますね。

カイジが強いのは、受信力が高いからではありません。
相手がいっていることを察する力があるから強いのではありません。
自らの発信力、巻き込む力、まわりをリードして動かす力があるからです。(P131)

説明されないルールを見抜け

バカ正直に真正面からぶつかるだけが勝負ではない、結果を出したいのであれば「したたか」に勝ちへの道筋を自分で探っていくしかない、ということなのです。(P163)

「したたか」という言葉を聞いてどのようなイメージありますか?

ずる賢い?計算高い?

「したたか」とは「強か」と書きます。

実は「強か」とはほめ言葉なのです。

デジタル大辞泉には以下のような意味が掲載されています。

  • 1.粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。
  • 2.強く、しっかりしているさま。
  • 3.強く勇猛であるさま。

まるで武士のようですね。

日本人は変にまじめなところがあり、「言われていないことはやってはいけない」と感じる傾向があります。(P159)

むしろ示されていないルールに勝ちへカギがあるのです。(P162)

示されていないルールに勝ちへのカギがあるという言葉を聞いて思い出すのが「NARUTO -ナルト-」の中忍選抜試験です。

NARUTOは週刊少年ジャンプに掲載されていた漫画でアニメ化もされました。

この中忍選抜試験の1次試験は筆記試験だったのですが、ルールが特殊だったのです。

カンニングおよびそれに準ずると監視員に見なされた行為1回につき2点の減点を受ける。
5回カンニングを発見された参加者はテストの採点を待たずに0点となりその場で失格となる。

通常の試験であれば、カンニングが見つかった場合はその場で失格です。
ですが、この試験では見つかったとしても行為1回につき2点の減点です。

そして、試験官である森乃イビキは次のように言います。

・無様なカンニングを行った者は自滅する
・仮にも忍なら立派な忍らしくしろ
・忍者は裏の裏を読むべし

実はこの試験、試されていたのは「学力」ではなく、「忍びとしての情報収集能力」。

つまりは、いかにバレないようにカンニング行為ができるかという試験だったのです。

当時は読んでいてそう来るか!と興奮したものです。

カンニングこそが生き残る術

「ビジネスはTTP」という言い方があります。
「TTP」は、「徹底的にパクる」の略です。
それほど、他人をマネることは当たり前のことで、逆にそうしなければ生き残っていけないのです。(P173)


剣道や茶道にも守破離という考えがあります。

  • 守:師匠から言われた型を「守る」(間違えなくその通りにできる)
  • 破:守ってきた型を自分のものにし、そして自分なりのアレンジを加え元の型を「破る」
  • 離:今の自分の型と師匠から言われた型の上に成り立ってその型から「離れる」(自由になる、独自の型を見つける)

TTPは守破離で言うところの守にあたる部分です。

僕が新人研修の時に教えることがあります。

それが「先輩社員が5年かけて身に付けたことに同じくらいの時間をかける必要はない」ということです。

パクるなり、質問するなり、先輩社員を上手く使って早く一人前になる工夫をして欲しいのです。

「自分の考え」というものに対してのハードルはもっと低くていいのです。(P178)

自分の考えというものはどこかしらで得てきたものです。

完全にオリジナルの考えというものはそれこそノーベル賞ものの大発明と一緒でしょう。

そう考えると少しは楽になりませんか?

書評まとめ『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』木暮太一

『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』いかがでしたでしょうか?

カイジシリーズは当初は3冊で完結の予定だったようです。

しかし、なぜか出版された4冊目…

本書にも理由が書かれていないので想像になるのですが、書いているうちにどうしても書きたいことが出てきたか、それとも売れ行きがいいので出版社からのプッシュがあったのか。

どちらにしろ、4冊目を出版するというチャンスをつかみ取ったからこの本があるんですよね。

書評まとめ
  • 正しい答えがなくても前に進め!
  • 可能性は無限大だ!
  • これらの時代には発信力が必要だ!
  • 強かに勝ち筋を探れ!
  • 徹底的にパクれ!

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